DiGRA JAPAN 8月定例会レポート

8/29、「若手研究者ラウンドテーブル」と題した8月定例会に行ってきました。
いいかげんに放談していたため、あんまりちゃんとしたメモを取っていないのですが、記憶を頼りにいくつかのトピックをピックアップして紹介したいと思います。

DiGRA JAPANの目指す「ダブルスタンダード

DiGRA JAPANは明確に産業界からの参加を謳う組織。である以上、会誌には産業界からも記事投稿があってほしい。というかないとまずい。
しかし論文というやつはいわば学術におけるお約束の塊であって、お約束を満たすためには充分なトレーニングと時間が必要。業務に就きながらの学術参加が合意されていない現状で、産業界の現場の人にその負担は厳しい。なので、本当に産業界から参加を望むなら、論文っぽくない記事を受け付ける体制が欲しい。
運営側も認識している話で、たとえば記事審査について学術向けと産業向けに意識的なダブルスタンダードを作ることを考えている、とのことでした。

活動のスパン

年一回の学会誌本誌では量的にも速度的にも十分とはいえない。もちろんフラグシップとしての学会誌は重要だけど、それ以外にももっと早いスパンでの情報発信が必要なのではないか、という話。

  • 会誌よりももう少し気楽な、会報のようなものが必要だろう
  • 会報に会誌としてはリジェクトした記事を掲載するようなことも可能では
  • Webを使った参加のしくみとか作れないか

なんてアイデアがぽつぽつと出されました。個人的にはWebシステムとかなら(本業でもあることだし)協力はできるかな、という感じ?

研究のスタイル

心理学系の研究というのは要するに実証系で、面白いデータが出てこないと研究そのものが辛い。むしろ必要なのは裏付けなんかなくてもいいから仮説を立ててしまうような、そういう思考実験(?)的な研究なんじゃないか、という話。
実際欧米のゲーム研究の場では仮説を述べている例が多く見られ、研究分野の基礎体力としてはそういう指向の活動が重要だろう、と。仮説があるから実証が成立する、ってのは考えてみれば当然の話で、まあそういう理論系(?)の人の活動の場が欲しいよね、と。

研究することを恐れるな

現場の経験のない人間がゲームについて論じても説得力が伴うのかという不安についても語られましたが、それはもう研究をしてしまうしかないだろう、と。
学生だから、現場の人間でないから、と尻込みしてたら研究なんてできない。むしろ経験のなさに起因する文句は歓迎すべきで、あるいは「文句があるならお前も書け」みたいな巻き込みも可能。そもそも研究というのは批判されることが前提であって、それを恐れているのは違う。