ゲームコンソール更新時期小考

「据置ハード5年周期説」は崩壊したか
http://gamemusic.blog50.fc2.com/blog-entry-892.html


そんなんあたりまえだと思うのだが。
「据え置きハードの5年更新」って話の前提には、ムーアの法則が存在していたわけだからして。
およそ1.5年に2倍の性能アップ、というのは大雑把な見立てだけど(単にトランジスタ数が倍になっても性能が倍になるわけではない)。でも、5年ってことは3回ぐらい2倍の性能アップが期待できるから性能比として10倍ぐらいのハードが出せるのがそのぐらいのサイクルになる。
そのころになると5年前のハードをやりくりするのにも限度がきてるから乗り換えのタイミングとしてはそう悪くない。


で、これだけ差がつくと文字通り「桁の違う」性能になる。そのぐらいハードの性能が違えば、見た目のインパクトは必ず変わる。「これ以上ハードの性能が上がっても仕方ない」なんてことはない。
しかし残念なことにハードの側の性能がそこまで上がってくれない、というのが現状だと思う。原子のサイズの壁にブチ当たってムーアの法則が維持困難になってきたからだ。というあたりは以前にhttp://d.hatena.ne.jp/gamedeep/20061219/1166529035 で一席ぶったお話だけど。


CPUを作る側はそれに対して並列化で問題を解決しようとしている。でもそれにはソフトを作る側でも作り方を変えなければいけなくなる。
その点で思い切った設計をしたのはPS3、というかそのCPUであるCell.B.E.なのだけれど、そのCell.B.E.ですら「これまでの作り方」と「これからの作り方」の折衷案的なところを狙った設計に過ぎない。

今は次の世代、「並列化コンピューティング」を前提としたゲーム作りに向けて、やりかたを整えていく時期なのだと思う。今後のCPU開発の方向を考慮すれば、PS3というプラットフォームが今後数十年のためのとてもよいテストベッドとなっていることがわかる。
ということで、「これまでの作り方」をDS、PSPWiiなどで実践しつつ小銭を稼ぎ、それで食い繋ぎながら「これからの作り方」をXBox360PS3で模索していく、というのが今のコンシューマビデオゲーム業界の姿なんではないだろうか。
XBox360はそろそろ真価を発揮すべき時期にさしかかっている。対してPS3が真価を発揮するのはまだ数年先のことだろう(それだけPS3の方が未来志向の設計をしているので)。

そしてWiiは「性能」的には既に限界が近い。まだまだやってみるべきアイデアはいろいろあるが、しかしスペックシートから単純に考える寿命は当然他のハードに比べて短いものだ(それを覆そうとしてるのが、Wiiという挑戦のすごいところなのだけど)。

となると「次の世代」の据え置きコンソールの登場時期も、自ずとずれていくことになるのではないか。マイクロソフトはそろそろ次の設計が考慮されはじめてきた時期、SCEはようやく腰を上げてみるぐらい、なんじゃないかと思っている(根拠のない勝手な予測)。
任天堂の考えている? 正直よくわからない。なんせ現社長になってから、さんざんセオリーひっくり返しまくりなので。DSやWiiでスペックシート性能勝負から完全に降りちゃったから、もう寿命とかあってなきが如しだし。