テレビゲームの越えてきたハードルを想う

ハドソン高橋名人が、東京大学で“ファミコンブーム”を熱く語る!
http://www.famitsu.com/game/news/1222608_1124.html

に行ってきましたよ。詳しいレポートはリンク先をどうぞということで、ここでは少し視点をずらした感想を。まあ速報としての意味はもうないことだし変化球でね。


とかく高橋名人の話の中で印象的だったのは、「子供を相手にすること」への意識の高さだったと思います。

たとえばリンク先に写真も出ているファミコン体操の話。
初期こそは2時間で200人以上の参加者にスコアアタックさせて、上位者には決勝戦やらせて、というスケジュールを回すのがぎりぎりいっぱいで、本当に説明とゲームしかやっていなかったものが、「高橋名人」として人気が出てきたあたりからMCの時間を15分ほどいただけるようになってから採り入れたものの一つだそうで。

  • 元々は「健康体操」という名前
  • 児童館の方から教わった
  • しかし高橋名人が「ファミコン上手くなるためには」って言えば子供は喜んでやる

のだと。
して、それを実際にやってみるとどうなるかというと、まあ普通はぶっつけでできるわけがないわけです。で、ぜんぜんできない子供たちが「高橋名人すげー!」と言ってイベントの雰囲気はバッと明るくなる。それも、親御さんたちも笑顔にならざるを得ないような健全な雰囲気になるのだと。
でまあ、ここでやってることはぶっちゃけゲームとかぜんぜん関係ないわけですよ。しかしそのゲームとの関係のなさが、おそらくはとても大事だったのだと。

ファミコンブームの起きた1985年前後というのは、まだインベーダーブームから数年程度の時期。当時インベーダーは無秩序なままにブームを起こしすぎて、まあゲームセンターの評判とかかなり悪かったわけです。
そこにテレビゲームというものが出てきて、これが家庭に入ろうとしている状況でした。そうした状況を考えると、高橋名人の思いつき*1で始まった「ゲームの健全化」という動きは、その後のテレビゲームの普及に大いに影響を与えたのではないかと思います。
そこで「会社ぐるみで主張してくことにするから」と追認したハドソン役員会の決断もまたすごいものですが。


そんなわけで、「ファミコン」なる社会現象を歴史的に考えようと思う向きには一級品の資料たりえる講演でした。

*1:リンク先でも紹介されてますが、「ゲームは一日一時間ぐらい集中してやって、後は外で遊ぶんだ!」的なことを言ったそうです。